Diary...日記、っぽいもの


CoverGirl No.16

16/10/1996 Mirror, Flip, Rotate

マンガっぽいイラストを描く人の間では、利き手のほうを向いた顔は描きにくいということになっている。日本人には圧倒的に右利きのほうが多いから、右向きの人物ばかり描いていると、やーいデッサン力がない〜とイジメられたりする。
で、右利きである私の場合、今回のCoverGirlは描きにくい方向である。これをどう解決したか。描きやすい方向で描いて左右反転したのである(爆笑)。ああCGって便利。
が、しかし、この方法にはひとつ問題があった。左右反転すると当然、服の合わせが逆になるのである。ええ、今回やりました。線画を仕上げて左右反転、あーバッチリバッチリとか言って、ふと気付くとこれじゃ死人だ。お馬鹿ですね。まあ、そうじゃなくたって服の合わせはよく間違えているんだけど。

17/10/1996 容赦ナシ?

ReadMe!という企画がある。読ませることを目的としたページのアクセスランキングをやっているページだ。参加しているページには画像(とCGIのタグ)が埋め込んであり、そのページにアクセスするごとに、つまりイメージを読み込むごとにアクセス回数が集計される仕組みになっている。で、私が毎日読んでいるページの大半がこの企画に参加しているのだが、はたして私のアクセスは彼らの得票になっているのだろうか?
というのも、元来が短気な私は画像をダウンロードしている最中についEscキーを押して中断してしまうからである。いや、画像ファイルそれ自体をダウンロードする必要はないのだろうが、タイミングによってはReadMe!のサーバにアクセスしている最中、つまりアクセス集計のCGIが動いている最中に中断しているかもしれないのである。
だとすると、あんなに面白いあのページにもあのページにも貢献していないことになる。好きじゃないけど事件のからみなんかで読みに行くあのページもあのページもあんなに上のほうにいるのに……きぃっ。
いや、中断しなければすむ話じゃんかと言われればそれまでなんですけどね。

18/10/1996 存続の危機

ページのバックグラウンドに色を付けてひと月と半。早くも飽きてきてしまった。別の色にしたいというんでなく、色の指定をやめたいということなんだけど。
もともと色を付けたのはCoverGirlのためである。半年やってみて、大半の環境でデフォルトであるそっけないグレー地に女の子の絵はカナシイという結論に達し、節を屈して色を付けてみたのだが、やはり釈然としないものを感じる。いや、他のページはいいんだ。どうも日記だけ、他のページとはコンセプトが違ってきてしまったというか、想定する読者がまったく違うというか。やっぱりテキストを読ませるためのページは、余計な飾りがないほうが格好良い。私が好きなあのページもあのページも「HTML言語はページマークアップ言語であってページレイアウト言語ではない」という理屈にかなったスタイリッシュなデフォルトグレー地ではないか(うちから見ると)。絶対、あっちのほうが格好良い! といって、グレー地に女の子の絵がカナシイのは事実だし。いっそ、CoverGirlをやめて色指定もやめるか? いや、少数ながらCoverGirlを楽しみにしてくださっている方もいるらしいことだし……うーっ!

こういうときには責任転嫁(笑)。皆様にお尋ねします。CoverGirl、まだ見たいですか?
見せろ もういい
ついでといっては何ですが。どちらの考え方を支持します?
HTMLはページマークアップ言語だ。レイアウト言語代わりに使うな。
現実がこんな状況なら、もう面白いことをやったほうが勝ちでしょ。
誰が送ったかはわかりませんし、結果がどうでも続けたければ続けますし続けたくなければやめますので、ご遠慮なく。結果発表は31日に行います。
それにしても、逆にグラフィックを見せるためのページは見た目の貧弱さが目について困るんだよね。どうせあの辺のページをNetscape拡張タグに対応していないようなブラウザで見るモノ好きもいないだろうし。いや、点数を増やすだけで印象が変わるであろうことはわかっているんだけど(苦笑)。

21/10/1996 朝っぱらからハードボイルド

我が家には、目覚まし時計がない。そもそも、時計がない。で、時計屋の前を通るとつい見てしまうんだけれど、この前見たところ、おしゃべりで起こしてくれる時計のヴァリエーションがずいぶん増えていた。なかに鬼太郎のがあって目玉親父の声で「起きろ、敵だ!」ってやってくれるのだな。しかし、目玉親父の声じゃいまいち緊張感をそいでいけない。どうせ敵襲シチュエーションでやるならこんなんはどうだ?「(サイレンの音)まわせーっ!」とめると「日本に帰りたい……」ちょっとうっとおしいか。以下声からの連想。
「(静夜思の朗読)」→「あんまり退屈なので、暗誦してしまいました。では、ご命令をどうぞ」
「やあ、R・田中一郎くんだよ。ロボットじゃなくてアンドロイドだよ」→「やあ、遅刻してしまったじゃないですか」うおぉぉ。いいぞっ。朝からほのぼの。
「(何でもいいからクラシックの交響曲)」→「美しい……」そんなんで目がさめるもんかい。
どんどんネタが古くなっていくぞ。「(磁器をはじく音)」→「良い品だな」やめてけれ。
……ところで、ハードボイルドはどこへ行った?

22/10/1996 死にそう

忙しいわけじゃないが、私ゃ疲れた。今日は寝る。
何か、ヤバくて堂々と書けないことが多い日々である。堂々と書けないだけで、書いてはいるんだけど。私はライターになりたい……。

24/10/1996 有り難きこと

昨日は書かなかったのではなく、別ページに分けて力作を書いていたら終わらなかったんです。お題は、「NETLive 1996 vol.1」(双葉社刊)掲載の記事「デジタルエイジの法律講座」について。弁護士の遠藤誠氏(オウム事件のとき、青山被告の弁護人に指名され、かつ解任された人ですね)が、編集部の質問に答えるという形で著作権料(何ソレ?)について語ってオラレル記事です。私が力作を書くエネルギーは怒りであると皆様にはもはやバレバレですからお察しでしょうが、その記事にいちゃもんを付けてみたわけですね。が、スキのないいちゃもんにするためにくだんの記事を何度も読み直している間に「これ、こんなに気合入れていちゃもんをつけるのもの馬鹿馬鹿しいんでない?」と思えてきたので、とっとと中止し、とっととファイルも消してしまいました。どれほどマヌケな記事なのか知りたい方は、読んでみてください。ああ、あの記事読んでどこがマヌケなのか理解できなかった方、もし、もし、万が一、いらっしゃったら、私にメールを出すように。とっくりと語ってさし上げます。
いい機会だから、今度の連休にでも著作権法の条文は全部目を通しておこうと思ったことであるよ。Webはありがたいスね。いや、この場合はWebというシステムじゃなくて入力してくださる方がありがたいのか。
Webがありがたいといえばもうひとつ。谷山浩子のホームページがあることを知った。おお、嬉しいぞ。何が嬉しいって、「Oh! FMTOWNS」が休刊になった今、アルバムが発売されたことをどうやって知ればいいのかという悩みが解消されたのがそりゃもう最高に嬉しい(笑)。いや、そりゃ他の雑誌でも連載してるのは知ってますよ。でもパソコン雑誌はほとんど読まないんです(本当の話。何故ってまともなものがないから、って言うのはさすがに良心がイタむ)。CDショップにも滅多に足を向けないもんで(これは貧乏が主たる理由)、本当にどうしたもんかと思ってたんですよ。

25/10/1996 凝り性

さて。著作権法の全文を持ってきたところで、ただでさえ面倒なものなのにディスプレイなんぞでは読む気がしない。適当に印刷するか。私の場合、標準の印刷ツールはPageMakerである。いや、本当に。こっちのほうがワープロよりよほど軽くて速くできるから。
テキストを流し込んで、と。JIS罫線で表を作っているからプロポーショナルフォントは不許可だな。Windowsのフォントはどれもいまいちだから、ここはプリンタフォントを使ってしまおう。それで本文のスタイル作って、と。おお、見出しくらいはPt数変えないと読みにくくていかんな。章と節とあと()で囲まれた奴、それぞれ見出しのスタイルを作って、と。ページの左右で行がずれるのは見苦しいから、行送りは全部本文の行送りの倍数にしておかんといかんな。ああ、ノンブルもあったほうがよろしい。数字を和文フォントにするのは美しくないから、英文フォントを使おう。Timesあたりでいいかな。そういえばこの間やむにやまれずWordを入れたとき、ノンブル向きのいいフォントがあったことだよ。あれを使おう。マスターをいじってこれでよし。おお、せっかくノンブルが入っているのだから、ここは目次を作らねばなるまい。後で調べたい項目を探すのにも便利だし。目次作成、と。目次はノンブルを別立てにしたいから、別ファイルにして、と。こっちのノンブルはローマ数字だなやはり。フォントはTimesでよかろう。おや、目次作成機能で自動的に作ったスタイルだと行送りが自動になっていて、行がずれている。スタイルを全部作り直して、と。いかーん! この目次、ページ数がプリンタフォントの明朝になっておるぞ。スタイルを直して英文フォントに、っとPageMakerはそういうことができないのだった。むぅ、手作業でやるしかないか。ちまちまちまちまちまちまちま。よし、美しい。さあ印刷だ。紙がもったいないから両面印刷だ。逆順で出したほうが後が楽かな。いや待てよ、そうやって綴じるなら、改行コードで文字を折り返していてきちんとセンターに来ていないのは美しくない。余計な改行コードをとるか。そうするとJIS罫線もきちんとTable Editorを使って作ったほうが………………(Endless)
えーと。もしかして、私って、すっごい馬鹿?

29/10/1996 求めるもの求められるもの

面白いものを見つけた。これが没になるかぁ。いいところをついているのに。できあがった本を見てみないとわからないけれど、「ほぅら、WWWならあなたも従来のマスコミなどのメディアを凌駕する情報発信ができるんだよ」っていうベタベタ大甘・あなたもスゥィートな夢を見てね路線にしたかったのかな。
さて。さるページで、「ホームページの作り方を解説した記事/書籍で、きちんとHTMLはページマークアップ言語であるというところから始めているものがない」と書かれていた。うん。私もそう思う。思うんだけど、そんなものを最近のわがままな読者は読んでくれないと断言する。彼らには理屈も理念もいらない。何かの技術を会得するまでに要する努力は拒否する。いまどきの初心者とはそういうものである。甘い結果だけが欲しいのだ。暴論? まあそうかもね。でもこれは実感だ。
辛口の記事を求める人は少なくないが、辛口というのはこの際メーカーの悪口を指すのであって、自分に対して辛口な記事を載せられて喜ぶ読者がいるなら、私はぜひ見てみたい。それはもう、切実に。

30/10/1996 Copyright/Copyleft

Copyleft」は、最近はあまり聞かなくなったようだが、世界的に有名なリコーダー演奏家リチャード・ストールマン氏(あー嘘嘘、嘘です。そこ、本気にしないように。この人について知りたければ、GNU Projectのホームページを見るとかしてください)が歌った言葉である。なお、「歌った」は「謳った」の誤変換ではない。本当に歌ったんだってば。いや、何かというとですね、著作権の話ふたたび、なんです。
さて、私が著作権関連の問題に興味を持ったのは、もともとはNIFTY-Serveのグラフィックフォーラム内の会議室「著作権の辛口味噌」を読んだからである。元来がプロのグラフィックデザイナーやイラストレーターが多いフォーラムであるうえ、中心となっているのがイラストレーターの加藤直之氏であるためか、主に著作物を提供する側の論理で話が進んでいる。財産権のみならず、人格権に話がおよぶことも多い。著作権侵害をされる側の気持ちを知りたい場合は、ここを読むとよい。ちなみに、私の感想は「こいつはヤバイ」だった。自分が訴えられる側にまわる可能性が高い立場だと自覚できたのは、ここのおかげである。まあこれは余談。
対して、さる知的財産権をテーマとするメーリングリストは、技術系メーカーの人、学生、公共機関の人、および弁護士がメンバーの中心となり、ほとんど著作物を利用する側の論理で話が進んでいる、ようだ。テーマを財産権としている通り、人格権に話がおよぶことはほとんどない。あまり活発ではないからいまいち雰囲気をつかみにくいのだが。ともあれ「辛口味噌」の感覚になれた頭でここを読んでいると、「オーイちょっと待ってくれぃ」と言いたくなることがたまにある。もちろん先日のお話にもならない雑誌記事に対するのとは全然違う反発なんだけれど、「いや、確かにそっちの論理じゃそうなのかもしれないけどさぁ」と思うことはやはりあるのだ。どうも、「知的生産物はすべからく人類の共有財産である」という考え方が、このメーリングリストにはあるように思える。確かCopyleftのバックボーンはこの考えだったと理解しているのだが。
さて、ここからは私の根拠のない意見である。いや、ここまでもかならずしも根拠があったわけではないが、ここからは特に根拠がないので注意。で、「辛口味噌」に参加しているような人達がcopyleft的な考えに賛同するかというと、実は微妙なところなのではないかと思うのだ。別に芸術家でなくても、商業としてやっているデザイナー、イラストレーター、作家などが「作品は全人類の共有財産」と言うか? 言わないような気がしないか? やはり「俺の作品は俺のもの」だろう。「財産」くらいは言うかもしれないが、「所有物」とは多分言わない。
こういうときに思い出すのが、以前疑問に思っていたこと。だいぶ昔に日記に書いたが、とうの昔にサーバから消してしまったのでここに再掲載する。

「何故、UNIXユーザーは自作ソフトウェアを改変自由とするのか? 彼らは、自分の作品に愛着はないのか?」
これは私にとって長年(って、せいぜい5年だけど)の疑問だったのだが、今日すんなり納得できる解答をもらった。つまり、それは「作品」ではなく「数式」「論文」と同じに考えているからだろうということ。なるほどね。作品ではなく知識なら、他人が自分の提示したものをどう料理するのか、それも知的な楽しみなのかもしれない。私なんかは、自分がそれなりに表現として完成させたものに他人の手を(まして勝手に)入れられるのはゴメンだ、とか思っていたんだけど、それはつまり作品として作っていたからなんだな。
つまり、「くだんのメーリングリスト」と「辛口味噌」の間にも、ここでいう「作品」と「数式(=知識)」のようなズレが生じているような気がするのだ。「メーリングリスト」が理系の学術ネットを母体とするインターネットにあるのに対して、「辛口味噌」が商用ネットワークNIFTY-Serveにあるのは、何やら象徴的ではないか?「辛口味噌」でデジタルデータの扱いに悩む人々は、何も財産権の侵害ばかりを恐れているのではない。人格権侵害への恐れがかならず念頭にあるのだ。メーリングリストが人格権の論議を切り捨てているのは、まさか無関心なのではなく、守られて当然であるという前提のもとに、そこまで入れてしまうことでテーマがぼやけるのをさけているのだろうけど。
よくも悪くも、インターネットのバックボーンが理系の学生の論理で育てられたものであって、相容れない人は結構多いんでないかと思う今日このごろであることよ。もしこれが美術系の学生が主体となっていたらまったく違うものであったろうし、文学系、経済系、その他モロモロでも同じだ。まして学生以外においてをや。今インターネットで主流とされている考え方は、何だか自由・平等を盛り込んだ美しい究極の理想みたいに言われることも多いけれど、すべての人にとっての理想ではないんじゃないかなァ。
ああ、そうだ。予防線をはるのを忘れちゃいかんな。Copyleftの考え方やくだんのメーリングリストが間違っていると言いたいのではないので、念のため。違う考え、感覚の人もいるんだよってことです。

31/10/1996 偏平率

以前お願いしたCoverGirlとHTMLに関するアンケートの結果発表だす。回答してくださった皆様、ありがとうございました。
とりあえずCoverGirlのほうですが、こちらはおおむね「見せろ」という回答をいただきました。面白い反応だったのは、次の質問のほうですね。

グラフィックを多用したページばかりがもてはやされるなか、この傾向は何だか(笑)。いやまあ、これだけうるさいことばかり書いていれば読者も自然かたよるだろうけど。というわけで、この日記の読者の方には頑固というか何というか、そういった方が多いんでしょうか。
とりあえずあと1ヵ月は現在のスタイルを続けますが、そのあとどう日和るかは皆様のご意見ご感想を元にしたりしなかったりしながらこれから考えることにします。


とりあえず、仕切り直し(Archive)

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