とりあえず、仕切り直し


04/11/1997 映画三昧

1日に行きました、東京国際映画祭。ながらくワタシにとって東京国際映画祭とは、「いきなり張芸謀に最優秀男優賞をあげちゃった映画祭」でしかなかったわけですが。三連休どうせヒマだろうからと金曜日に情報誌を買ってぺらぺらめくっていたら、日本にプリントが現存せず、ロシアに保存されていた日本映画67年ぶりに公開ってのにふらふらと惹かれてしまったです。
「何が彼女をそうさせたか」1930年。何だってロシアなんかで保存されていたかっていうと、それはもちろん左翼映画として当時あちらで紹介されていたからですね。でもって国立の機関で60年以上も保存されていたわけです。無声映画で、ロシア語の字幕がついていたのを再度日本語字幕に直しての上映。豪華オリジナル曲の生演奏付き。でも、最初と最後のフィルムが現存しないので、そこは資料から起こした字幕のみ(このへんは曲が効果的におぎなってた)。傾向映画といっても、そんなに左翼っぽくないなぁと思ったのはワタシだけでしょうか。貧しさになすすべもなく翻弄されるヒロインといえば、かの「散りゆく花」がありますが。ワタシにとって“左翼”の象徴とは「戦艦ポチョムキン」と「蟹工船」で、労働者の団結と造反は必須だぜ、って極端すぎるのか、それが。ラストシーンで社会を痛烈に弾劾するヒロインと、ただはかなく散るだけのヒロインを一緒にしちゃいけないのだな。
もう一度くだんの情報誌を眺めていたら、「侯孝賢」の文字が。行くわもー何をおいても行っちゃうわたとえ当人が顔を出すわけじゃなくても。……って、さらに今Webページを見たら、アキ・カウリスマキも審査員として来日してら。考えてみたら、この方々ももうベテラン巨匠の部類に入るのだよね。

昨日はいまさら「フィフス・エレメント」を見てまいりました。スキだらけの映画なので、ツッコミの心を固く封印してから見れば、最高に楽しめると思ったです。あと、SFだと思わないこと。プログラムは読まないこと。ワタシ読んじゃったんですけどね、絵としての面白さを優先して考証を放棄したような部分ばかりわざわざ選んで「生活感とリアリティがある」と書いている評論家がいるもんで。その評論にツッコミを入れつつ映画を反芻していくともうボロボロになるです。あれは読んじゃいけなかった。ふぅ。
いや、でも、細かいことを気にしなければ、リールーは可愛くて可愛くて可愛くて凶悪なまでに可愛いし、勢いがあって最後までノンストップで楽しめるし、見て損はなかったなぁ、と。

おっと忘れてた。11月の月例展覧会開催。ひさびさに新規リンクもあり。

05/11/1997 バカネタ

自分のホームグラウンドのネタをバカネタに昇華させることに関していえば、理系な方々のほうが文系な皆様よりも上手いように思うんだけど、単にワタシの感性が偏っているのかな。文系なバカネタを扱ったところ、どっかないか? 見てみたいだけさ。

運営しているからにはちっとくらいは宣伝することを考えないといけないのかな。うむ。

06/11/1997 哲人の好物

「魚河岸あげ」だ。常々どんな食物だろうかと思っていたのだが、昨日東急ストアに寄ったら安売りしていたので、買って帰った。さっと焼いて醤油で味付けするか、おでんや煮物に、ってな調理方法らしい。ふっくら仕上げてあるので煮すぎないようにとも。とりあえず“和の万能調味料”めんつゆ:-)で煮て食べた。なるほど、豆腐だ。おでんに入れて味をしっかり染み込ませたらワタシの好みだな。こうやっておでんセットに入っていない好物が増えると、土鍋はあふれ、3日間も同じものを食べ続ける結果になるのだ。うが。
ちなみに“中華の万能調味料”はオイスターソースで、“洋の万能調味料”は粉末のコンソメである。手抜きで悪いか。

07/11/1997 幸せ。

昨夜、生まれてから3回目の経験をした。映画館で起こる拍手というやつである。ちなみに過去の2回とは、今はなき銀座文化で見た「雨に唄えば」とユーロスペースで見た「イントレランス」。でもって昨日のは、渋東シネタワー1で「侯孝賢」。映画監督のロングインタビュー、ドキュメントである。映画祭の上映だから拍手が出たってわけでもない(コンペ参加作品じゃない上、舞台挨拶もティーチインもない=関係者が場内に来ている可能性は大変低い)。終始場内で笑い声があがるユーモラスなコメントが入ってたんだけど、ラスト、監督がカラオケを熱唱するシーンで「この場面 監督はでたらめな日本語で歌っています」の字幕が出た瞬間に爆笑+拍手+「Bravo!」の声。まあ、そういう内容の作品だから観客にファンが多かったっていうのもあるだろうけどね。
それにしても、作品内に挿入される映画の各シーン。ああ、やっぱり私この人の作るもの好きだなァ。すごく。

10/11/1997 癒される

東京国際映画祭、土曜日はインターナショナルコンペ正式出品「CURE」。すごい面白いぞ。ただ、いかにも賞とりには向かない映画だな。ぼそぼそしたしゃべり方である上に音響があんまり良くなくて台詞が聞き取りにくく、思わず英語字幕に頼っちゃったりしましたが。考えてみたら、ワタシは「日本映画はつまらない」という偏見持ちなので、字幕ナシで映画を見ることに慣れてないのだな。今回も料金が安いから見に行ったようなもんです。ちょっと興味を持っても、日本映画に対して1800円を払おうという度胸はなかなか出ないですからね。でもこれで認識を改め、悔い改め、日本映画を冷遇するのはやめようと思ったことです。
とか言いつつ、特別招待作品のなかに「二宮金次郎物語〈愛と情熱のかぎり〉」を発見して「国辱」という言葉を思い浮かべてしまうワタシは、まだまだ修行が足りません。ええ。

11/11/1997 フォント

“規格どおりで構造が美しい”かつ“見栄えもよろしい”ページを作るために、CSS1か2を利用してみようかと思い、とりあえずhttp://www.w3.org/Style/をNetscapeNavigator3.03で見る。その後、フト興味を惹かれて同じページをInternetExplorer3.02で見て卒倒しかける:-) NetscapeNavigator3.03ってサポートしてしてなかったのか。この手の機能には興味なかったから、知らなかっただよ。つーても、どうせInternetExplorerだってちゃんと対応しているわけじゃあるまい。駄目だこりゃ。見送り見送り。

何でもいいけど、どーしてMS明朝ってこんなにキタナイ表示なのだ(印刷結果もウツクシイわけじゃないが)。いっそFixedSysのほうがマシだぞ、これなら。明朝系の細いフォントを解像度が低いディスプレイで表示するのは無理があるんだよなぁ。

非常に素朴なギモン。「読んだよン」という類の、作者に空メールが送られるボタンは、読むたびに押されることを期待したものなんだろうか。それとも初めて読んだ(あるいは設置された)ときに、記帳がわりに押されることを期待したものなんだろうか。
こんなどーでもいいことに悩んで躊躇するのはワタシだけか?

12/11/1997 年寄り

とか何とか言ってる間に、HTML4.0の仕様はかたまりそうだわNetscapeNavigatorのバージョンは上がるわまたIntenetExplorerのセキュリティホールは見つかるわで、皆よくこんなモン追っかける気力があるよな。飽きないのか?

13/11/1997 ただソフトウェアというだけで

昨日は5555、本日は1111。続けて他所様のカウンタのゾロメをひいてしまう。だからどうしたという類のことなんだけどね。そのページに大いに感銘を受け、これを機会にお近づきになりたいとかいう場合でもなければ、わざわざ申告したりもしないし。

おたくウィークリー、唐沢俊一のコラムが面白いかも。ワタシは結構ネに持っているのだ、フィフス・エレメントのプログラム
それはともかく、ワタシは昔、さる月刊パソコン誌でCD-ROMタイトル紹介の連載コラムを書いていた。毎月10本(しかもゲームはのぞく)も取り上げるに値するような面白いタイトルが出るわきゃねェだろ、というのもさることながら、興味がある人が見れば多分すごく面白いんだろうけどワタシは興味ないからツマランなぁ、というタイトルについて書くのが相当つらかったです。例えば画集系のタイトルだったら、たまたま趣味に合致しているから、256色に減色するのは現状を考えれば仕方ないがもうちょっと気合い入れてパレット調整しろよこれじゃ良さが伝わらないじゃん、とかやたらと細かいところまで見られる。しかし、音楽系のタイトルでは、とりあえずインタフェースはよくできてるけど肝心の選曲や演奏は良いんだか悪いんだかさっぱりわからん、という体たらく。だってワタシ音楽ライターじゃないし、CDラジカセで満足する程度の趣味しか持ち合わせてないんだもん。そう断り書きできたらどんなに楽だったことか。半端な知識でほめたりけなしたりするよりは誠意ある対応だと思うんだが、そんなことをしても誰も(担当編集者も、読者も)ホメちゃくれないのである。より誠意ある対応は最初から原稿依頼を引き受けないことなんで当然だけど。
本当にさ、これまでパソコンの一般的なソフトウェアなりハードウェアなりについて書くことを専門にしてきたライターが、ただパソコンで見られるというだけの理由で、例えば百科事典モノの出来について云々してよいのか、って思わん? ま、そんなこともあって唐沢コラムがツボにハマッたんだよん、というわけで。

14/11/1997 善良なるウカツ

とあるイラスト展示のページを見つけて、結構好みの絵柄だったのでリンク先の候補に入れようかなと思ったが、そのうちの1点に付けられていた「背景は本からパクった(汗をかいた笑顔のフェイスマーク付き)」というコメントを見て中止する。
多分、悪意はないだろうし、もちろん罪悪感もないんだろうなぁ。でまた、知った上で守る方向に行くにせよブッちぎる方向に行くにせよ、著作権という概念がそこそこ浸透している日本のWebっていう世界で、こんなことを書いたら(ワタシみたいに:-))ムキになって批判する人間がゴマンといるということにも考えが及ばないんだな。ただ、絵を描くときにそれがイメージに合っていたから素直に使い、どんな風に描いたのかも知ってもらいたいからそのまま過程を書く、それだけ。善良なウカツさ。いい加減スレて根性の悪いワタシがどこかからスキャンした絵を使うなら、最低でも一見元絵がわからない程度にはいじるし、間違ってもパクリましたなんて白状したりしませんよ。いえ、やってませんってば。だいたいスキャナが会社に入ったのだってつい最近なんだから。

よく言われる、自分のプライバシーを危険性を認識せずにWebに載せちゃうとか、以前ケナしたような、初心者が間違った知識を伝えてしまうことの怖さに気付かず嬉々としてHTML講座を開いちゃうとか、まあ、そういったことね。彼らは基本的に大変善良なんだよね。純粋に自己紹介してコミュニケーションをとろうとか、自分が苦労したから同じところでつまづく人を助けようとか。ただ、ウカツ。家庭新聞作って付き合いのあるご近所にくばるとか、仲間内でパソコンを教えあうととか、そういうことをやっていたときとは違う次元の問題が起こりうることに思い至らない。ネットワーク上ではいろんな人が警鐘を鳴らしたり脅したりしてるんだけど、まあだいたいそういう辛口なところは善良な人々を惹きつけるような華やかな外見を欠くし、善良な人々が手にとるような雑誌とか書籍でも滅多に教えてくれない。

ああ、ウカツだなぁ。でもって、うっかりそういうページを作っている人にこんなことを言おうものなら、「個人の趣味だし、そんなつもりじゃなかったのに」と傷つかれてしまうんだろうな。善良な人々は、自分が製造したものを批評・批判されるのに慣れてないから。発表すれば批判されうるのだということに思い至らないくらいウカツだから。 ああやだやだ。なんかやだ。

……とかいう理屈とは別に、今回のケースの場合、たとえその図版の著作権が切れていようとも、出版した人から許可をもらっていようとも関係ないんだよね(多分無許可でスキャンしたんだろうけど)。他人が製造したものを利用することを「パクる」と言って、しかも笑ってすませる感覚がイヤ。他人がそれを製造する際にかけたコストを想像し、配慮できる程度の分別は持ってほしいなと思ったりするわけさね。


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