東京かわら版の9月号に先般亡くなった入船亭扇橋の追悼記事があって、扇橋の「しあわせは玉葱の芽のうすみどり」という句が掲載されていた。何とも良い句であることだなぁと思うのだけれど、冷静に考えると意味はよくわからないし、どこがどう良いのか説明もできないのだった。しかし何度読み返しても良い句だと思えるのは確かなので、いつか自分が良いと思う理由だけでも説明できるようになるとよい。
扇橋は寄席で一度聴いたものの、もう最晩年だったので声がよく聞こえない噺家でしかなく、もっぱら今は亡き落語協会メールマガジンの俳句コーナーの人という感じ。落語のほうが全然（というか聞こえないんだから良し悪し以前）だったので、そのコーナーでの俳句の良さがなおさら印象的だった。
所用があって築地に行き、たまたまいつもの道を1本外れたら、とある建物のドアにおなじみの表紙が拡大されて貼られていたのだった。おおぅ東京かわら版編集部だ。築地にあるってのは知ってたけれども、いつも行くところとこんなに近かったのか。帰りにすかさず寄って、そのうちらくごカフェででも買おうと考えていたかわら版新書の1冊を買い求めたことだよ。しかし、ああいう小さい出版社とか編集プロダクションとかって本当にどこも変わらないなー。