とりあえず、仕切り直し


17/10/2003 続・何かに負けたような気がする

ThinkPadが返ってきて、ガワが全部新品に取り換えられ、キーボードもつい先日換えたばかりなので、外見が微妙に新品です。喜んでいいんだか悲しんでいいんだか。

ところで帯の誘惑に負けてドクロちゃんの2巻を買ってしまいました。やはりというかしょせんというか一発ネタだ。つーか、あれはズルイよなぁ。出来がどうだろうと真面目に批判したら一生モンの敗北感に苛まれそうだから。「撲殺天使ドクロちゃんを大真面目に論評した女」……いやーっそんな十字架を背負って生きていくのは辛すぎるー!

ところで先日、トートツにチケットを取ったヴェルディのレクイエムを聴いてきたのだった。於NHKホール。リッカルド・シャイー指揮、ミラノ・ジュゼッペ・ヴェルディ交響楽団。チケットでは「レクイエム他」となっていたので、あんな長い曲に加えてさらに何かやるのか、それとも全曲ではないのかと思っていたらフツーにレクイエム全曲のみでした。そりゃーそうだよな。しかし、ま、改めて生で聴いてみると、やはり魂を鎮めるというより死人をたたき起こそうとしているとしか思えん曲だ。ソプラノ・メゾソプラノ・テノール・バスとソリストが並んでいるところを見ると、人間の声なんてのもしょせん物理的に決まるものでしかないってことがよくわかってチト痛快であったことだよ。いや、ほら、ヴァイオリン・ヴィオラ・チェロ・コントラバスと共鳴板が大きくなるにつれて音が低くなるじゃない。それと同じでソプラノ歌手よりメゾソプラノ歌手、テノール歌手よりバス歌手のほうが体が大きいんだわ、明らかに。こういうのはCDじゃなくて演奏しているところを見に行かないとわからんな。

Tuba mirumでホール横の張り出しにもトランペットを配置していて、音が立体的に聴こえるよまるで良い音響設備の映画館にいるときみたいだよすげェぜとか感動したのだが、感動するところが逆だわいな。楽器を立体的に配置すりゃ立体的に聴こえるのは当然なわけで、すごいのはそれを記録し再現できる技術のほうだ。それにしても今回は空気の振動が鼓膜だけじゃなくて体にも伝わってきて気分が良かったー。コーラスがピアニシモで歌うところとかも良く聴こえたし。

今回は、ってことでもう1枚取っていたショスタコービチの5番のほうは、実は先々週の水曜日に行ってきたのだった。翌日何か書くはずだったのが、ほら車とけんかしてそれどころじゃなかったから。於東京文化会館。北原幸男指揮、東京都交響楽団。他の演目はグリンカの「ルスランとリュドミラ」序曲とチャイコフスキーのピアノ協奏曲1番、アンコールにリャードフの「八つのロシア民謡」より第3番 悲しい歌。もう内容以前の問題でやはり4階席は無茶でしたはい。先日のほうは3階席だっただけど、こんなに違うものなのか? 横と正面の違いってのもあるんだろうけど。あるいはホール自体の音響効果に差があるのかも。何にせよ、買うときはホールの広さを見てもうちょっと良い席を奮発しようと思ったことです。あれはチト悲しかったサ。

23/10/2003 編集者の職分

消えゆくソフトウェアの保存活動に立ちはだかる著作権法の壁

東京国際映画祭(11/1-11/9)である。調子にのってガンガン前売を買い込んでから、ドールショウ(11/2)の存在を思い出したのだった。しっかり2日上映のチケットも買っていた。ティーチインがある回を選ぶとだいたい早い日付になるからなぁ。まあ、散財せずにすんでよかったと思っておくことにしよう。

ところで「バッカーノ! 1932 Drug & The Dominos」を読んだことです。こんなに時間がかかったのは、序盤に誤植表記その他が気に障ってまともに読めなかったから。いくら書き溜めたものがない状態で3ヵ月連続刊行をやったからといって、さすがに今回はヒドすぎ。商品の体をなしてない。わたしが読んですら9割のページに赤を入れたくなった。まっとうな編集者が読んだら全ページに赤が入るんじゃないか? 考えてみりゃあ後書きで作者が校閲に礼を言っているだけで、実際に校閲がいるかどうかはわかったもんじゃないな。……本当にいるとしたら、即刻クビにすべきだが。

文章を読むかぎりでは「ろくに推敲もせず書き飛ばした雑な小説」という評価がぴったりくるんだが、何がコワイってその状態でも構成はやたら複雑でキャラクターも多く、しかも破綻せずきっちり書き分けてるんだよな(ただし、やはりそのあたりも前作より出来が荒い)……とどめに面白いときてる。どうすりゃいいんだこの作者。

30/10/2003 天知る地知る子知る我知る

昨日「インファナル・アフェア」を見てまいりました。水曜日なのでレディスデー1000円、この手の特典利用の是非を考えないでもないですが、さしあたり恩恵に与ることにしてまた品川プリンスシネマへ。電車に乗るより会社から自転車飛ばしたほうが近かったのコトですよ。いまさらといえばいまさらですが、ホンットーにひでェ邦題ですな。とはいえ、原題の「無間道」も(平均的な日本人にとっては)ピンとこないとは思いますが。まあ、冒頭5分を見れば漠然とイメージがつかめるし、エンディング曲を聴く頃にはテーマとしてよく理解できるんだけれども。意外なほど仏教的というか、古風な考え方に貫かれた映画でした。

とりあえずは「オーディオケーブルに使う金を惜しむな」「機密保持のため社内へのAirH"持ち込みを禁ずるべし」「アナログ最強」という教訓が胸に迫ったことです。いや、まあ、冗談はさておき、そういうディティールがよく考えられており小道具として上手く使われていると、最後までサメずにのめり込んで見られて良いですよ。

さて、「Missing」の9巻を読んでおやと感じたので手元にある電撃文庫をざっと見直してみたのだった。何って、「バッカーノ!」で商品の体をなしていないと書いた「誤植表記その他」のうち、表記の問題が。

わたしの場合、読んでいてもっとも気に障るのが「事」「無い」「知れない」などがむやみと漢字で表記されていることなのだね。「そんな事を訊かれたって俺に分かる訳ないだろう。此方だって手掛かりが無くて困ってるんだ。彼なら何か情報を持っているかも知れないが」なんて表記がされていてごらん、その場で本を投げ出すから。その昔ワープロを使い始めたばかりの人が、かな漢字変換で出た漢字をそのまま使うこういう無神経な表記をよくやっていたが、最近は減少傾向だ(もちろん、進化したのは書き手ではなく、かな漢字変換ソフトのほうである)。で、「バッカーノ!」でこれがざこざこ残っており編集者は何をやっているのかと憤慨していたら「Missing」もそうだったので、電撃文庫にはその手の用字用語の指針がないのかと他を見直してみたという次第。わかるかぎりで作家本人のサイトも見てみたり。

で……どうやら、存在しないらしい。担当編集者による違いでもなさそうだし、他人の手が入らないサイトの文章とも一致する部分が多いので、おそらく作家にまかせっきりで指導もほとんどしない方針なのではないかと。ざっと見たかぎり、そのあたりもきちんとしていたのが(わたしが読んでいるなかでは)一番マトモかつクセのない文章を書く渡瀬草一郎。古橋秀之も実はかなりしっかりした文章なんだが何せ内容にクセがありすぎ造語も多いので、読みやすさではどうしてもいくらか落ちるかな。そういうところにきちんと気をつかう作家は、内容もやはり行き届いてると思います。

「Missing」本編だが、これはもうどうにもならんわ。亜紀の「無能な働き者」ぶり(しかもヒステリー持ち)が目障りってのは以前からだが、 何がどうにもならんって、これだけページをかけて描写されている怪異がまったく怖くないんだよね。心理的に怖いわけでもないし、半端に理屈付けがされてるもんだから理不尽な恐怖としての迫力もない。過ぎたスプラッタはギャグにしかならんよ。この苛立ちは何かと考えてみれば、コバルト文庫を読んだときのそれですな。ひたすらに美麗・流麗、つまり鬱陶しい表現とか。読者が女子中高校生なら格好良く見えるであろうがそれ以外には失笑モノのキャラクター造形とか。シリーズが長引くにしたがって長さと内容の濃さが反比例していくとか。こりゃだめだな。道具立ての面白さでここまでつきあったが、悪化する可能性はあってもマトモになる可能性は0に等しいだろ。

31/10/2003 先の話

『デジタル・ミレニアム著作権法』に新たな例外規定

余談だが、以前Hotwiredの本文が読めないと嘆いていた件。最近は印刷用のページが用意されており、そちらを見ればすむようになった。いや、まあ、本当はNorton Internet Securityの設定を変えればすむ話なんだろうけど。

「ところがバッテリー持続時間が徐々に長くなり、操作性もこなれてきた昨今、IBM社内でもXシリーズを選ぶユーザーが増えてきた。以前はTシリーズばかりだったIBMのエグゼクティブがXを持ち歩き、『軽い方がやっぱりイイね』と言う。日本でXシリーズの人気が高いこともあって、Xシリーズに関しては日本の要求が通りやすくなっています。ですから、軽く、薄くなりますよ。次のXは」 “スタンダードを裏切る製品作りも楽しい”──ThinkPadが見つめる進行方向

……さすがに当面買い換える予定はないが(X22を買ってからまだ1年ちょっとだし←その短い期間に2度も修理に出してるってどうなのさ←うるさいわい)、これは嬉しい発言だな。1.64kgってやはりちょっと重い。慣れてるとはいえ。今まで235/1.25kg、240Z/1.35kgと重くなる一方だったしね。


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