とりあえず、仕切り直し


17/09/2003 良い椅子の劇場でした

ところで先の連休中、「HERO」と「座頭市」を見てまいりました。張芸謀に北野武。まあ、外しようのない安全パイという奴だ(った、んだがな)。チト好奇心にかられて渋谷新宿池袋有楽町ではなく品川プリンスシネマへ。「HERO」のほうはプレミアム館での上映。一般館も全席指定入替制なのは同じだが、プレミアム館の椅子は本当に豪勢だった……料金も豪勢で2500円だけど。「座頭市」を日曜料金レイトショー1200円で見て収支を合わせたサ。一般館も椅子が上等で、2本続けたにもかかわらず疲労の蓄積しないベストコンディションで見られたのは良かったことであるよ。でもスクリーンがずいぶんと小さかったな。最近の映画館はみんなこんなもんか。昔の文芸座みたいにスクリーンがデカい映画館ってもう流行ンないのか?

「HERO」は、久々に色彩派手でケレン味のある張芸謀映画を見たなぁ、と。もうこういうのは撮らないのかと思ってた。ただし、昔のように美しく面白かったのは赤までかな。ついでに、ジェット・リーとドニー・イェンはCGやワイヤーの少ない殺陣のほうが映えると思う。わざわざこの2人を使っておいて俳優が立ってるだけでも撮れる、っていうか“作れる”あの装飾過多なCG殺陣はねェだろ? もったいないにもほどがあるぞ。ジェット・リーなんて生身のアクションやらなきゃ単なる童顔の大根役者なんだからさぁ。

で、「座頭市」。本家である勝新太郎Ver.を見たことがないという、ある意味幸運な観客なので多少は割り引いたほうがいいのかもしれないが、こっちはアタリ。エンタテインメントのお約束を正しく守って正しく外した良作なんではないかと。世界屈指のアクション俳優をひっぱってきた「HERO」より、心得があったとはいえアクションが本業ではない俳優がやったこっちの殺陣のほうが見ごたえがあるっつーのはどういうことだ。

余談だが、「HERO」において廷臣たちが秦王に迫るシーン。多分「殺不殺!?」と言っているんだろうと思うが(わたしは中国語を勉強したことがないし、普段触れる機会もないし、映画を見て聴き覚えただけなので間違っている可能性は高い)、字幕だと「ご決断を」になる。元の台詞のリズム感とか台無しなんだが、だからといって他に適切な訳があるかといえばやはりそれしかないような気もする。「座頭市」にしても、日本人として当然お約束を知っていることを前提に説明を省いているところはあるわけで。英語字幕への感慨とか、他国人が作った映画を見る上での相互不理解とか、もう一度考えてみたりもする。

24/09/2003 美しき天然

が、ジンタの代表曲のようになっているのはナゼだろう?

と、いうわけで、「二十世紀少年読本」(林海象監督)を借りて見た。公開当時に見たかったのになんとなく機会を逃してそのままになってた奴。ヘンな話だが、これってスタンダードだと思い込んでた。ビスタだったのか。スタンダードなのはデビュー作の「夢みるように眠りたい」のほうで、これと混同してたらしい。大げさというべきか棒読みというべきか判断に迷う不自然な台詞まわしで「夢の中のサーカス」を強調しているのだろうけれども、話としてはだからどうしたというか……公開時に見ていれば(要するにこっちが若ければ)また違ったかな。主人公の「仁太」は当然ジンタから来ているとして、弟の「渡」は何なんだろう。深い意味はないのかな?

ナゼか無性にちゃんとしたオーケストラの演奏を聴きたくてたまらなくなり、チケットぴあサイトをあさって2枚ほどチケットをとる。ショスタコービチの5番他と、ヴェルディのレクイエム他。どうせわたしの耳は役立たずなので、一番安い席を。価格的には映画見るのと大差ないのだな。しかしそれにしても、東京文化会館の4階席というのはさすがに難儀かもしれん……まあ、それで安物買いの銭失いを実感できたら次に活かすということで。

ところで「革命」と言えば、「戦艦ポチョムキン」のBGMが2種類あった(ような気がする)という話なのだが。←このときの版でBGMになっていたのがショスタコービチの交響曲5番「革命」。で、最初に見た版でBGMになっていた曲なのだが、「ワルシャワ労働者の歌」という曲だったのだね。これはACTミニシアターで見たもので、その後の2回は三百人劇場(いわゆる「全貌」企画で。ロシア……じゃないな。まだソ連だった頃だ)と銀座シネパトス。版の違いはその辺にも由来するのかもしれない。

余談ながら、リンク先の説明のとおりACTミニシアターは靴を脱いで上がるというめずらしい劇場で、オールナイトの観客はほとんど座椅子というより寝椅子状態だった。席が足りなくて途中で椅子を出してもらったことをよく覚えている。……一晩立つのはつらかったからナ。いくら若くても。しかもカリガリ博士だのフリークスだのアンダルシアの犬だの幕間だのといろんな意味で頭を抱えて座り込みたくなるようなのばっかりだったし。

さらに余談ながら、その1回だけで「ワルシャワ労働者の歌」のメロディを覚えてしまったわけではなく、違うタイトルと歌詞で小学校の教科書に載っていたから覚えていたんである。そちらの歌詞も直裁ではないものの、聞きようによっては革命歌と解釈できるようなものだったような気がする。今でも載ってるのかねぇ?

26/09/2003 出すと信頼できるだけマシ

明け方に目が覚めて世界がゆれていると感じたのは、あれは気のせいではなかったのか。

「VS −ヴァーサス−file2 狩人の条件」(麻生俊平著、富士見ファンタジア文庫刊)を読んだ。改めて書くとタイトルが恥ずかしい。つーか麻生俊平って「ヘヴィなライトノベル作家」のイメージが強いから忘れがちだが、ネーミングとか道具立てとか大筋とかはクラシカルな特撮・少年漫画路線なんだよな。料理の仕方が179度ほどずれているだけで。

で、1巻が首をかしげてしまうような感じだったのがいきなり全開状態。なんだが、敵がチト安いな。一面的な見方をしない、と言って誉めすぎなら、一面的な見方をしないということに対して誠実であろうとする麻生作品の敵にしては、いやにわかりやすく否定しやすい敵だったような。今までなら敵が主人公に突きつけてきたようなことまでコマンダーが兼任していたというところはあるんだけども、まあ、この先だしね。この人の場合は。

前後するが、「バッカーノ! 1931(鈍行編・急行編)」(成田良悟著・電撃文庫刊)も読んだ。2つわかったことがある。「成田良悟は怪物だ」、それに「電撃文庫の校閲は無能だ」。……いや、あのな。わたしゃ(この商売としては甚だマズイことに、読者としては甚だ幸せなことに)誤植には相当鈍いほうなんだよ。そのわたしが読んですら誤植にひっかかるってアナタ。編集が読んでさらに校閲まで入ってどうしてあんなに残ってるんだ……つーか原稿は一体どういう惨状なんだ。

「怪物」というのは、今時ポエムもどきの叙情なしにトリッキーな構成だけでガンガン読ませるライトノベル作家なんて希少価値だ、と。これでまだ23歳か……。ただ、才気だけで書き飛ばしてるようなところはあるんで、今後どう化けるかはわからないけど。ある程度書いたら小説を書くこと自体に飽きかねない感じがするんだ、この作者。

29/09/2003 凋落人生

フト思い立って、過去画廊と呼んでいたコンテンツをInformationに移動した。いつまでもhomeに置いておく必要もなかんべ。元はメインコンテンツになるはずだったというのに、その凋落ぶりは気持ちがよいほどである。そういや、結局この手の画像がメインコンテンツになった時期は一度もなかったんだな。哀れな:-p

先日、髪を切ってもらいに行ったところ、地震の話になった。大きな地震はみな早朝に起こっており夜には来ないような気がするがどうしてなんだろうなどと。まあ、文字通り床屋政談であって、ここ10年や20年の国内で印象に残っているものから話している程度のものなので、実際に有意な差があるかどうかは調べてみないと不明だが。関東大震災は昼時だったはず。

大陸のほうでは全国標準語普及宣伝週間などというものが先週行われていたのだそうな。チト古いものしか見つからなかったが→第一回全国標準語普及宣伝週間(charsetでgb2312と指定されており簡体字フォントを要求されるが、中身はShift-JISなのでそのまま表示可能)。そういえば先日の映画「HERO」においても後に始皇帝となる秦の王が文字の統一について口にしていたな、と。もちろん文化を滅ぼすという面もあるのだが、一方で統一することによるメリットも無視できないものがあって、どのあたりで妥協するか想像する以上に難しい問題なのであろ。言語とか通貨とか度量衡とか。

極論すりゃ、世界中の文字が全部単純なアルファベットに統一されればどれほど楽になるか、っつーことで。このへん「独版ドメイン名拡大〜ウムラウト(変音記号)をどうするか」もこのへん「文字の海、ビットの舟」も一挙に解決だ:-p

その昔台湾へ行ったときに、相互に方言が通じない少数民族の老人の間では日本語が共通語として機能していたとか聞いたが、真偽は知らん。侯監督の映画で「本省人ヤクザ/福建語」「本省人ヤクザ側通訳/福建語←→広東語」「上海人ヤクザ側通訳/広東語←→上海語」「上海人ヤクザ/上海語」っていう会話シーンがあったなとか(非情城市)。「外省人祖母/客家語」「台湾育ち孫/福建語」とか(童年往事)、「外省人父/北京語」「台湾生まれ子供/福建語」とか(ナイルの娘)も。

30/09/2003 恋は盲目というのとも違うが

ところで話題に出ないけど行かなかったのかって、実は行ってきたのだったI・DOLL VOL.10。何がすごかったって、ディーラーでモデルとしてちょこちょこみかけたユノア。多分荒木元太郎塗装版のデフォルトだろうと思うけど、すっげー綺麗なんだわ。「透き通るような」って表現がぴったりくる。はっきり言ってボークスのワンオフSDがおもちゃに見えてくるほどのクォリティ。これに転べる人が心底羨ましい。持ってる人がじゃなくて、転べる人が。……だってさ。完成度が高いのはわかるんだよ。とてもキャストの塊とは思えない美しさだってのもわかるんだ。でも、でもね。わたしの好みじゃないんだよー!! ……これが好みに合う人が羨ましいよ、ホント。なんかこう、すごい美人で性格もいい女性が手の届くところにいるのに、何故かどうってことない(つーか欠点も多い)女のほうに惹かれてどうにもならないって感じでしょうか。とほほ。いや、すまないアレックス。振袖買ってきたから暴言を許してくれ。←以前あれはきっとロシア人だから和服は着ないとか何とか言ってなかったか。←欲望には勝てないんだ……。


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